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・起こして
たった今、金縛りにあった。
左耳だけがひどい耳鳴りで、少しずつ止んでくると
耳鳴りの向こうから女の声がし始めた。
耳鳴りが止むと女の声ははっきり聞こえるようになった。
「起こして…起こして…」
段々と口調が激しくなり、
「起こして!起こしてー!起こしてー―― !! 」
最終的には叫び声に変わった。
「起こしてって、言ったからね」
最後にそう言い残して金縛りは終わった。
とりあえず何したらいい?
・猫パンチ
猫が床から十数センチ離れた空間に猫パンチをくらわせていた。
近づいてみたが虫すらいない。
それなのに何もいない空間に向かって猫は必死に猫パンチを繰り出す。
いいかげんに止めさせないとアホになるんじゃないかと心配していると
弟が通り過ぎざまに猫をその場から撤去した。
夕食時、昼間猫がなにもない空中を殴打していた話をしたら
弟がボソッと呟いた。
「床からおっさんが顔半分だけ生えてた」
どうやら、床からおっさんが顔半分だけ出した状態で生えていたらしく、
そのおっさんの控えめな頭髪に覆われた頭部を
猫は一生懸命に叩いていたらしい。
最初は迷惑そうにしていたおっさんの顔が、徐々に泣きそうに歪んでいって、
かわいそうに思った弟が猫をおっさんの傍から撤去したんだとの事。
そして猫は今日もおっさんの生えているであろう空間を
肉球で殴打している。
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